一年という節目が与える視点――土地が教えてくれる成長の本質
来年の2月を迎えると、いよいよこの土地に関わり始めて一年という周年を体験することになります。振り返れば、すべてが手探りだった最初の数ヶ月から、季節ごとの動きや土の表情に対する理解が深まり、作業配分や作業内容も次第に精度が増してきました。
土地に向き合うということは、計画通りに作業をこなすだけではありません。天候や湿度、竹の伸び方、土の乾き具合、虫の動き……そのすべてがヒントであり、すべてが判断材料になる。だからこそ、実際に「一年を通して」経験することには大きな意味があります。
2月という区切りを迎えることで、私はひとつの“周期”を身体で理解することになる。
それは、今後の作業精度をさらに上げてくれるはずです。
経験が積み重なるほど、土地の言葉が聞き取れるようになっていく――その感覚を手に入れられることが、私はとても嬉しいのです。
開拓を続けるたびに、自然は常にこちらに問いを投げかけてきます。
「次はどう動く?」
「この変化をどう受け止める?」
そんな自然との対話こそが、自分を成長させてくれる最大の要因です。
畑作業も、竹林整備も、庭園づくりも、洞窟の手入れも、資材置場や動線の設計も、ひとつとして同じ日はありません。
日々の変化に合わせて動き、考え、改善し続けること――その繰り返しが、自分の技術を磨いていくのだと思います。
まだまだ学ぶことは多い。
むしろ、知れば知るほど知らないものが増え、好奇心が刺激され続ける場所。
これほど飽きのこない「学びの場」は他にありません。
そして、私の中にはひとつの“最終イメージ”があります。
畑部、竹林部、庭園部、洞窟部、資材置場部、動線部、入口部。
それぞれが独立しながらも調和し、ひとつの世界観をつくりあげる土地。
朝の光が畑を照らし、風が竹林を揺らし、洞窟は静かに湿度を保ち、
庭園には季節の草花が彩りを添え、
入口から動線へと自然に誘導されていく――そんな空間。
すべてが整ったとき、それは単なる「作業をした土地」ではなく、
自分の人生そのものを映したひとつの世界になるはずです。
その光景を想像するだけで、言葉にし難い神秘性を感じます。
開拓は続きます。
好奇心も、成長も、探求も終わることはありません。
そして、その無限性こそが、この土地が持つ最大の魅力なのだと思っています。