
オキナワの少年 東峰夫作
戦後のオキナワで風俗店を営む
両親の元で育つ主人公の少年
芥川作品に関しては主人公などという
言い方は適していないと思うので
しいて言うなら少年目線で話は進んでいく
芥川作品では主人公だけでなく登場人物それぞれが
それぞれの人生を営んでおり現実世界と同じで
ひとりひとりがオンリーワンです
そんな現実社会と同じような状況下で
誰が主人公など言えません
それぞれがそれぞれの思惑で動き
互いに作用し世界が運営されているので
現実と全く相違ありません
過去に遡るにつれてそういった
世界観の物語が多い気がします
とまぁその少年は思春期の中で
大人の女性スタッフや外国人客が
生活の一部となっておりますが
そんな環境での不平不満と
葛藤していくことになります
性にたいしての健全な反応を示す一方で
身内がずけずけとプライベートに関与してくる様や
学校では給食費の盗人扱いされたり
家出のために外に出ても
そう簡単に出来るものでもなかったり
人に敷地に勝手に入っては
家主に怒られたりとあまりいいことがありません
そんな状態でも日々は過ぎていき
夢である船旅を想像して生きていきます
思春期ならではの幼い想像や計画に
容赦なく現実が覆いかぶさり傷つきながらも
葛藤し成長していく姿は共感出来ます
時代は違いますが思春期に感じる
甘酸っぱい経験は共感出来ます
大人になりかける時期に感じたことは
その時しか味わう事が出来ず
振り返った時には思い出すことは出来ても
目の前の思春期世代に支持を得るのは難しいでしょう
そんな複雑な気持ちが混じり合った思春期の体験は
大人になっても自身に影響を及ぼすでしょう
ただそれを受け入れ飲み込めた時に
大人に近づけたと実感するのです
エンタメ性の高い出来事はないものの
誰しもが似たような経験と
照らし合わせることが出来て
あの頃の自分と重ねることが出来るでしょう
文章に浸り世界観を満喫し
様々な人物に自分を重ね合わせ
空想での経験を積めることが出来る小説は良作です
ということでありがとうございました