芥川賞受賞作品『むらさきのスカートの女』感想と解説

『むらさきのスカートの女』 

 

この作品は

笑いながら読んでしまい

あっという間に読み終えてしまいました

 

台詞も多かった為

全体的に文字数が少ないのも

関係していると思いますが

 

芥川賞受賞作品らしくない

エンターテインメント性を

純文学で表現している珍しい作品です

 

この作品は

芥川賞受賞作品の中でも

大変読みやすく

初級向けでどなたにでも

受け入れられることでしょう

 

では早速解説しいていきます

 

むらさきのスカートの女と黄色いカーディガンの女

むらさきのスカートの女は日野さんです

日野さんの出だしは

全くパッとしない人物でありながら

町で有名な少し変な人として登場します

 

そこから徐々に取り巻く環境が変化して

順応してみるみる変化していく

むらさきのスカートの女を

応援したり時には心配したりと

楽しませて頂きました

 

所長と付き合いだしたときは

ビックリして馴れ初めが知りたかったですが

常時黄色いカーディガンの女である

権藤チーフ目線なので最後まで語られなかったです

 

日野さんは当初は

独りで何も語らず決められた毎日を

過ごす謎の人物で不気味だったのが

徐々に子供と会話したり

うまく職場に溶け込んだり

痴漢を捕まえたり

所長と付き合ったり

お化粧したりと

能力値が高いことが判明します

元々高かったのか環境によるものか

不明ですが権藤チーフとは全く違う人間でしたね・・・笑

 

物語のナレーションを務める

主人公の権藤チーフは

通称黄色いカーディガンの女です

 

権藤さんは家賃を滞納し

職場の備品を近所のバザーで売り捌く

あくどい女です

 

文章で悪事をさらっと説明して

進めていく感じには声を出して笑ってしまいました

 

家賃滞納や退去命令後の念入りな計画と

職場の備品の窃盗や無銭飲食・・・

どれも面白かったですが

友達になりたかった日野さんとの

ファーストコンタクトが

所長墜落の事件現場で逃亡生活の指示をするという

 

早口で長文を喋っている権藤さん、面白かったです

 

所長を死亡と診断しておいて

実際は生きているというのも

権藤さんの適当節が最高潮でした・・・笑

日野さんの不安を煽りまくったあげく最低だよな・・・笑

 

普段は無口で下戸だと思われている

権藤さんの本性は計画性抜群で

酒も飲めるししっかりと喋れるんです

存在感は薄いけど・・・

 

果たして友達になれるのか

実際は能力の高い日野さんと

ストーカーで悪人の権藤さん

 

作中では日野さんは最後行方知らずに

なってしまったので結局友達になれなかったし

もし友達になったとしても

権藤さんはストーカー気質だしな・・・

 

最後の権藤さんは

ベンチに座っているところを

子供に肩をトントンされる

標的に成り果てるし

 

日野さんを失ったことで

日常生活に力を入れ直して

立て直して欲しいと思います

 

所長にも借金しようとしているし

日野さんより権藤さんの方が心配な終わり方でした

 

日野さんを案ずるより

自分のことを考えた方がいいという

作者のメッセージかもしれません

 

灯台下暗し的なお話でした

それではまた

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