芥川賞受賞作品『青桐』の読書感想文

こんにちわ

専業主夫のSTEDです

 

今回は芥川賞受賞作品

『青桐』を読みましたので

感想を綴っていきます

 

芥川賞全集のおかげで

過去の作品を読めることが出来て幸せです

 

古本屋さんでも古すぎる作品の在庫率は低く

入手が困難になっております

  

電子書籍も良いと思いますが

やっぱり紙の媒体で読み進めたい願望があり

悩んでいたところに全集の存在を発見

 

ご興味のある方は是非ご検討下さい

 

ということで昭和60年前後の

受賞作品の青桐を解説していきます

 

登場人物は

婚期を逃した未婚の居候主人公みっちゃん

みっちゃん兄こうへい

従妹の史郎と春子

乳癌末期の叔母さん

 

田舎暮らしの情景や

近所に住む爺さんや村民との関りを

読み進めると安易に想像出来て

スーパーに梨花が買い物に行ってから

情報が一気に拡散するあたりが

共感出来て笑ってしまいました

 

田舎の村が開発によって

土地の値段が上がり手放す心情や

周囲の関係性とか村独特の世界観が面白い

 

そんな世界観に染まらずに

叔母さんが生きている姿は

筋が通っており印象が良い

恨まれる行動はないが妬みはあります

小さな組織で睨まれると

過ごしにくいことと感じますが

叔母は全く動じません

 

こういった割り切った性格や

自分の芯を通せる精神的強さは

誰しもが憧れる能力

 

その上見た目も美しいという

 

凛とした生き方が

更に美しさを割り増ししているだろう

 

そんな叔母が乳癌で終焉の地に

選んだのが子育てをした旧家だった

自然の中でゆっくりと

最後の時間を楽しみたいと

癌治療もせず病を身体に飼いならし

共に最後を迎えるという

 

そのまま、ありのままを受け入れる

みんなに迷惑を掛けてしまうのは

理解しているし申し訳ないが

自然に身を任せて終わりたいと

 

身体が腐敗していく臭いや

弱っていく様は妙にリアルでしたが

全てを受け入れる覚悟を持った叔母を

想像すると嫌な気持ちにはなりません

 

ただ周りが現実を目の当たりにして

たじろいでしまう様は当事者と読者の

境界を感じれてまた面白い

 

そして

火傷事件の重要人物は叔母であったと

発覚したみっちゃんの心情が

間もなく死ぬであろう叔母を

前にしても揺れ動く様が良い

今までお世話になってきて

感謝や恩義を十分過ぎるほど感じているのに

怒りの感情は出てきたり

こうへいに強く当たったりと

何とも言えない感情に浸れて

とても心地よかった

 

人間ってそういう時あるよな

 

35年生きてきたから分かるのか

15歳の時に読んでもこんな気持ちには

ならなかっただろうな

今までの人生で培った経験が

小説とリンクしていく感覚も好きでねぇ

 

最後の終わり方も

みっちゃんが新しい旅に出るような

期待が持てる展開だったし

みんながみんな

それぞれが満足出来る人生を

過ごして欲しいと思えた

 

小説って本当に素晴らしい

ありがとうございました

 

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