竹の焼却作業で一番消耗するのは体力じゃない
放棄地取得10カ月、実際にやって分かった「精神が削られる理由」
放棄地を取得してから約10カ月。
竹伐採と並行して、避けて通れない作業がある。それが焼却作業だ。
竹林整備というと「切る大変さ」が注目されがちだが、
実際にやってみて分かったのは、一番消耗するのは体力ではないという事実だった。
消耗するのは、精神力だ。
この記事では、
実際に放棄地を取得し、自分一人で竹を燃やし続けて分かった
「焼却作業の本当のしんどさ」を、体験ベースで記していく。
焼却作業は「危険を管理し続ける作業」
竹の焼却は、ただ燃やせばいい作業ではない。
・青い竹は爆ぜる
・割れている竹を選ぶ
・火の粉の飛び方を常に見る
・風向き、風速を読む
・火柱の高さを制御する
・残火を疑い続ける
これらを2〜3時間、常に同時進行で判断し続ける。
一瞬でも気を抜けば事故につながる可能性があるため、
作業中はずっと「緊張状態」が続く。
体は動いているが、
実際には脳と神経を酷使している状態だ。
体力は回復するが、精神の消耗は残る
不思議なことに、焼却作業後はそこまで筋肉痛にならない。
しかし、どっと疲れる。
これは肉体疲労ではなく、
「判断し続けたことによる精神疲労」だと感じている。
・火が完全に消えたか
・炭の内部に熱が残っていないか
・地中に火が回っていないか
作業を終えても、
「本当に大丈夫か?」という確認を何度も行う。
燃やしている時間より、
燃やした後の確認の方が精神を使う。
残火確認が一番神経を使う理由
焼却作業で最も神経を使うのが、鎮火後だ。
炭を山に形成し、
水をかけ、
表面温度を確認し、
30分〜1時間、何も起きないかを見る。
それでも「100%安全」とは言い切れない。
だから私は、
一度燃やした燃し場は2〜3日空けてから次を行う。
連続使用しないのは、
体力の問題ではなく、精神的な負荷が大きすぎるからだ。
焼却作業は「効率」を求めすぎると壊れる
もっと細かく切れば燃える。
もっと量を入れれば早く終わる。
理屈では分かっている。
だが、効率を追いすぎると、
・火柱が上がりすぎる
・火の管理が雑になる
・判断が遅れる
結果的に、自分の首を絞める。
私は、
「囲い天端+1m以内」を火柱の上限とし、
無理をしない焼却を選んでいる。
これは安全面だけでなく、
精神を守るためのルールでもある。
なぜ焼却は他の作業より疲れるのか
竹伐採、開墾、掘削。
どれも大変だが、これらは身体が主役の作業だ。
一方、焼却は
「判断 → 監視 → 修正」を延々と繰り返す作業。
つまり、
常に“失敗しない判断”を求められる作業。
この性質が、精神を削る。
だから私は、
焼却作業を「一番疲れる作業」と位置づけている。
放棄地での焼却は、覚悟がないと続かない
放棄地を取得して10カ月。
焼却は「楽しい作業」ではない。
だが、避けて通れない。
だからこそ、
・無理をしない
・量を欲張らない
・連続使用しない
この3点を徹底している。
焼却は、
勢いでやる作業ではなく、淡々と向き合う作業だ。
まとめ:焼却は精神力の作業
竹の焼却で削られるのは体力ではない。
削られるのは、精神力。
だからこそ、
・短時間
・余裕を持つ
・安全第一
この姿勢が何より重要だと、10カ月の実践で確信した。
焼却は「早く終わらせる作業」ではない。
事故を起こさず、何も起きないことが成功なのだ。